ART(Assisted Reproductive Technology) 高度生殖補助医療
高度生殖補助医療 (ART) は患者の卵巣から卵子を手術で取り出し、培養室で精子と結合させ、その患者の身体に戻す方法。
通称IVFーET (In Vitro Fertilization & Embyo Transplantation) 体外受精-胚移植

体外受精へステップアップの時期



http://okawa.xrea.jp/Okawa%20ART/ART%20HP/ART%20ivf-et/ART%20ivf-et.html

体内自然妊娠時、受精卵の発育過程 (In vivo)
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採卵-受精ー培養ー凍結ー融解ー移植

採卵-受精ー培養ー凍結ー融解ー移植

伝統的体外受精 と 顕微授精

Classic ( or Traditional or Conventional) IVF (In Vitro Fertilization) 
   通常(古典的、伝統的)体外受精
ICSI ( Intracytoplasmic sperm injection) 顕微授精
 顕微授精は、受精卵を得るために精子を卵の細胞質内に注入する方法です。通常の体外受精で受精率が低い、あるいは低い恐れがある場合に行っています。顕微授精を行うことで通常70-80%の卵で受精を確認できます。
 顕微授精と通常の体外受精を比較した場合、現時点では特に出生児への悪影響を認めたという報告はありませんので、顕微授精が通常の体外受精と比べて危険だとは考えておりません。顕微授精は受精卵を得るための一手段と考えてください。
 当院では、男性因子、処理前後の顕微鏡下での精子所見の分析及び女性の卵巣予備機能、卵子質など、当院の過去の経験で低受精率が予想される場合に顕微授精を行うことにしております。受精率を高める為に、一部の卵で顕微授精を行い残りは通常の体外受精を行うこともあります。( split in vitro fertilization (IVF)-ICSI method )

採卵-受精ー培養ー凍結ー融解ー移植

IVF-ET (In Vitro Fertilization & Embyo Transplantation) 体外受精-胚移植

EMBRYOSCOPE 8 TIME-LAPSE SYSTEM
 -PURPOSE For embryo culture and evaluation- 
世界最先端受精卵培養画像解析装置、当院2020年より導入し、現在原則的全症例を対象に使用しています。

EBRYOSCOPEは受精卵を培養器内の密封された環境で連続的に胚を顕微鏡下に撮影するTime-pluse systemの装置です。標準的な培養方法と比べて、すべての年齢層の患者に対する流産率の低下、妊娠率と生産率の向上報告されている。詳しくこちらへ…….

採卵-受精ー培養ー凍結ー融解ー移植

採卵-受精ー培養ー凍結ー融解ー移植

採卵-受精ー培養ー凍結ー融解ー移植
着床のサポート

受精3日目分割胚の細胞数と妊娠率の関係(大川ART2014~208)
胞胚腔拡張Stage別臨床妊娠率(大川ART2014~2018)
内細胞塊ICM/栄養外胚葉TE Grade別臨床妊娠率(大川ART2014~2018

体外受精の卵巣刺激法:FSH/HMG

FSH製剤 uFSH:あすか, rFSH:ゴナールエフ, フォリスチム, レコベル

体外受精の卵巣刺激法における早発性排卵の防止: GnRH agonist, GnRH antagonist & PPOS

[体外受精採卵時、早発性排卵の防止]
早発性排卵
体外受精などの高度生殖医療で、より多く卵子が採取され、複数でより良い胚が移植できるように、排卵誘発剤 HMG (FSH)より卵巣を刺激する。しかし、刺激され多くの卵胞が発育すると、多層の顆粒層細胞よりEstradiol が旺盛に分泌される。通常の単一卵胞よりEstradiol の血中濃度が遙かに上昇し、Positive Feedback(正のフィードバック)より早発性 LH surge が起こり、複数の成熟前の卵胞を排卵させてしまう。結果として、成熟の卵胞が採取されなくなる。

早発性排卵の防止

GnRH agonist (アゴニスト) あるいは GnRH antagonist(アンタゴニスト)の投与より LHサージやFSHの分泌を抑制し、採卵前に排卵してしまわないよう働く。

GnRH agonist (GnRHアゴニトト) 
Gonadotropin Releasing Hormone agonist

GnRH agonistは使用開始直後は脳下垂体レベルでゴナドトロピンの分泌促進をきたしますが(flare up),やがて脳下垂体のGnRH receptorを減少させ(down regulation),結果としてintrinsic gonadotropin (LHサージやFSH) の分泌を抑制します。

GnRH agonist の 使用方法は二つ:long protocol & short protocol
高・正常反応型(~35歳の方)→ long protocol
① 採卵する月経周期の前の周期の高温相の7~8日目からスプレキュアという点鼻薬を1日3回、左右の鼻孔に噴霧します(ロング法)。この薬により、下垂体からの性腺(卵巣)刺激ホルモンの分泌 ( premature LH surge )を抑え、勝手に排卵しないようにします。HMG注射の当日朝まで使用する。 ② HCG im Timing:18mm follice * 3, or E2 in blood 1500~2000pg/ml. ③34~36時間後採卵

低反応型(例えば35歳~高齢者)short protocol
採卵する月経周期の3日目からHMG(FSH)(or clomid+HMG) スプレキュアという点鼻薬を1日3回、左右の鼻孔に噴霧します(ショート法)。HMG注射の当日朝まで使用する。②lHCG im Timing : long 法と同じ or よりやや小さいうち ③34~36時間後採卵
*GnRHアゴニストの初期のFSHの濃度を高める作用(flare up)を利用し、卵巣予備能低下(発育してくる卵胞数が少ない方、高齢の方)に効果的です。

GnRH antagonist (GnRHアンタゴニスト)
Gonadotropin Releasing Hormone antagonist

「セトロタイド®」や「ガニレスト®」という注射剤
*作用:下垂体のLH、FSHの働くレセプターに結合し、アゴニストのスプレキュアより確立に内因性LHサージ、FSHを抑えることができる。
*アゴニストと比較するとやや高価です。
セトロタイド卵胞径が2方向平均16mm前後(一方向は約18mm)となった時点よりセトロタイド0.25mg(塩野義製薬)を1日1回腹部皮下に連日投与する。
②「
ガニレスト皮下注0.25ミリグラムシリンジ」(一般名:ガニレリクス酢酸塩、シェリングプラウ)使用方法はセトロタイド0.25mgと同じが、特長は「プレフィルドシリンジ」液体の製剤そのまますぐに使用できる。
レルミナ 〜経口 GnRHアンタゴニスト「レルゴリクス」〜
従来GnRHアンタゴニスト製剤はガニレストのような注射剤しかない。レルミナは初めての内服薬です。この飲み薬本来はは子宮筋腫による過多月経、下腹痛、腰痛、貧血などを改善する薬ですが、現在は体外受精の時に応用し、採卵前に卵子が排卵しないように使うことが目的でした。卵胞径が2方向平均16mm前後(一方向は約18mm)となった時点より1日1回内服のみ、しかも低価格で使用しやすいところもある。 

* 抑える力がやや強く、AMH↓, AFC↓、FSH↑、age↑、poor responder の方不向きの場合もあります。
* 卵巣過刺激療法中に卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の予防と治療にも応用が可能になる。採卵当日より一日1錠×5日、適宜増減、朝食前内服その後30分間禁食。

PPOS(Progestin-primed Ovarian Stimulation)

多嚢胞性卵巣(PCOS)の方にで卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を予防する効果あります。
黄体ホルモン ( e.g. Duphaston ) は排卵抑制効果があります。月経開始3日目からFSH/HMGを連日注射する場合に、注射開始日から黄体ホルモンを内服します。

メリット:Antagonist 注射製剤を投与する必要がなくなり、来院回数とコストの減少に繋ぎます。
デメリット:高温期のホルモン状態になってしまい新鮮胚移植ができない。
Antagonist注射より1~2日刺激日数が長くなる可能性があります。

体外受精・胚移植のスケジュール

~GnRH アンタゴニスト による誘発・採卵・胚移植の一例

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2021 年分の体外受精・胚移植等の臨床実施成績 (全国)

日本産科婦人科学会  生殖・内分泌委員会  令和元年度倫理委員会 登録・調査小委員会報告

2021_JSOG-ART

受精3日目分割胚の細胞数と妊娠率の関係(大川ART2014~2018)
胞胚腔拡張Stage別臨床妊娠率(大川ART2014~2018)

内細胞塊ICM/栄養外胚葉TE Grade別臨床妊娠率(大川ART2014~2018