新型出生前診断(NIPT)開始のご案内
当院にて新型出生前診断(NIPT)を受けられるようになりました。
新型出生前診断(NIPT)は「non-invasive prenatal genetic test(無侵襲的出生前遺伝学的検査)」と呼ばれる検査で、お母さんの血液中にある赤ちゃん由来のDNAを調べる検査です。
確定検査ではありませんので、結果が陽性又は判定保留の場合、結果を確定させるために追加で羊水検査を行います。
検査でわかること
ダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトウ症候群(13トリソミー)などの染色体異常が無いかを調べることができます。
検査前にカウンセリング
NIPT検査を受ける前に、夫婦(もしくは本人とパートナー)で、検査前カウンセリングを受ける必要があります。
検査時期
妊娠10週から14週での検査をお勧めいたします。
費用
カウンセリング料 1回 5000円(+税)
NIPT検査料 95000円(+税)
羊水検査料(NIPT陽性の場合)20000円(+税)
(羊水検査料は通常約15万円です。当院NIPTを受けた方限定約 2万円です。)
予約方法
大川産婦人科病院・末広本院 外来受付:097-536-351 診療時間内にお電話いただき「NIPTカウンセリングの予約」とお伝えください。
他院通院中の方も当院でNIPT検査を受けることが可能です。その際は、分娩予定日が記載された紹介状を作成してもらい受診されてください。紹介状がない場合、検査前に状態確認のため胎児エコーを行うことがあります。その場合は別途診察料(約3千円)が必要となります。
その他・注意事項
NIPT検査は、金曜または土曜に行います。
検査当日でのお支払いが必要です。お支払いは現金のみとなっております。
検査結果説明は、通常検査2週間後となります。
当院は出生前検査認証制度等運営委員会の認証施設 (連携施設.基幹施設は大分大学医学部附属病院)です。
当院には日本産科婦人科遺伝診療学会(周産期)認定をもつ産婦人科専門医が3名在籍しております。
一緒に考えよう、お腹の赤ちゃんの検査|出生前検査認証制度等運営委員会 (jams-prenatal.jp)
Q:NIPT(non-invasive prenatal genetic testing、無侵襲的出生前遺伝学的検査)検査で何がわかる?
A:NIPT(新型出生前診断)について
NIPTは、母体の血液から赤ちゃんの染色体異常を調べる検査です。母体血液中に微量含まれる胎児(正確には胎盤)由来のDNAを抽出し、**次世代シーケンサー(NGS:Next Generation Sequencing)**技術を用いて、特定の染色体領域を分析します。これにより、染色体の数的異常、特に以下の染色体異常を高精度で検出します:
21トリソミー(ダウン症候群)
18トリソミー(エドワーズ症候群)
13トリソミー(パトウ症候群)
これらの3種類の異常が、現在日本国内の認証施設で検査の対象とされています。
NIPTの最大の特徴は、非侵襲的(リスクが少ない)な点です。母体や胎児に対する危険がほとんどなく、従来の羊水検査や絨毛検査のような侵襲的検査(感染症や流産のリスクを伴う)とは異なり、安全性が高いのがメリットです。
Q:NIPT検査の対象者は?
A:NIPTは、基本的にすべての妊婦で検査を受ける選択肢があります。ただし、必須の検査ではなく、個々のリスクや希望に基づき、医師と相談しながら本人の意思を尊重した上で受検が決定されます。
特に、以下の条件に該当する場合は、染色体数異常のリスクが高くなるため、NIPTを積極的に検討することが推奨されることがあります:
・高年齢の妊婦
・母体血清マーカー検査で胎児に染色体数的異常の可能性が示唆された場合
・過去に染色体数的異常を有する児を妊娠した経験がある場合
・両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座を有しており、胎児が13トリソミーまたは21トリソミーになる可能性が示唆される場合
・胎児超音波検査で染色体数的異常の可能性が示唆された場合
Q:NIPTの検査結果はどれくらいの精度がありますか?
A:
NIPT(新型出生前診断)の検出精度は非常に高いとされています。(以下の図表を参照ください。)日本の大規模研究によると、NIPT全体の偽陰性率は0.01%、ダウン症の的中率は97.3%、偽陽性率は2.7%です。 NIPT検査は進化しており、当院でも最新のNIPT検査を採用しているため、従来のNIPT検査よりさらに精度の高い検査結果が得られます。しかし、NIPTはあくまでスクリーニング検査であり、確定診断ではありません。そのため、検査結果が陽性だった場合、羊水検査や絨毛検査などの確定的検査が推奨されます。
また、NIPTには偽陽性や偽陰性の可能性がゼロではないため、慎重な解釈が求められます。特に、18トリソミーの的中率は88.0%、13トリソミーの的中率は54.3%と低いため、これらの異常に関しては追加検査が重要となります。
Q:NIPT(無侵襲的出生前遺伝学的検査)の普及状況は、日本および他国・地域でどのように異なりますか?
A:
NIPTの普及状況は、各国や地域によって大きく異なります。特にアメリカ、ヨーロッパ、中国では、日本に比べてNIPTが広く普及しています。
アメリカ
2011年にNIPTが導入されて以来、急速に普及しました。従来は高リスク妊娠の女性に推奨されていましたが、近年ではすべての妊婦に対しても提供されるケースが増えています。妊娠初期から簡単に検査を受けられる体制が整っており、対象となる染色体異常も広がっています。性染色体異常や微細欠失症候群なども検査可能で、多様な選択肢が用意されています。
ヨーロッパ
NIPTはヨーロッパ各国でも普及が進んでおり、特にオランダやベルギーでは公的保険の対象になっています。一部の国では全妊婦に対して無料で提供されるケースもあり、検査の敷居が低くなっています。
中国
中国ではNIPTの普及が急速に進んでおり、多くの妊婦が妊娠初期からこの検査を利用しています。医療機関だけでなく、民間の遺伝子検査サービスも広がっているため、手軽に受けられる一方、遺伝カウンセリングの不足が課題として指摘されています。
日本
日本ではNIPTの運用は他国に比べて慎重に行われています。NIPTは、ダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの3つの染色体異常を主な対象としており、検査を実施できるのは認可施設に限られています。運用にあたっては、倫理的配慮から遺伝カウンセリングが必須であり、慎重な対応が求められています。以前は規制が厳しく限定的でしたが、近年では不安を抱える妊婦に対して、十分な情報提供と支援を行い、本人の意思決定を尊重する方針に変わりつつあります。
まとめ
各国のNIPT普及状況には、医療制度、倫理的議論、コスト、遺伝カウンセリングの体制などが影響を与えています。特に日本では、慎重な運用が優先されているため、他国に比べて普及のスピードが遅い傾向にありますが、今後、より多くの妊婦に対して提供する方向での検討が進められています。
胎児の染色体異常について
Q:赤ちゃん(胎児)に生まれつき病気がある割合はどれくらいですか?
A:
胎児の先天性異常は、全体の約**3~5%**に見られます。
先天性異常は大きく以下の2つに分類されます:
① 染色体異常によらない構造的・機能的異常
心臓の先天性欠損症、神経管閉鎖障害(例:二分脊椎)、四肢の奇形などが該当します。
割合:全体の60〜70%
原因: 遺伝的要因や環境的要因が関与することが多いです。
検査方法: 主に超音波などの画像検査が使われますが、確定的な所見が得られないこともあります。
② 染色体異常による病気
代表的な例として、
ダウン症候群(21トリソミー)
エドワーズ症候群(18トリソミー)
パトウ症候群(13トリソミー)
割合:全体の30〜40%
検査方法: 遺伝学的検査により、正確に診断できます。
これらの染色体異常に伴う疾患として、ダウン症候群では先天性心疾患が高頻度で見られるなど、複合的な異常が起こることもあります。
Q:常染色体は通常2本で1つのペアを形成します。特定の染色体が1本少ない モノソミー(monosomy)と、1本多くなり3本になるトリソミー(trisomy)の場合、どのような影響がありますか?
A:
ヒトの細胞には、通常23対、合計46本の染色体が存在します。そのうち23本は父親由来、残りの23本は母親由来です。
染色体は、
1.常染色体(autosomal chromosomes):44本(22対)
2.性染色体(sex chromosomes):2本(1対)
に分けられます。
常染色体
常染色体は44本(22対)あり、1~22番までの番号が付けられています。
性染色体
性染色体にはX染色体およびY染色体が含まれます。
・X染色体とY染色体が1本ずつ(XY)の場合は男性
・X染色体が2本(XX)の場合は女性となります。
モノソミー(monosomy)
モノソミーとは、正常な2本の染色体のうち1本が欠けた状態で発生する染色体異常です。この異常は非常にまれであり、生命力に大きな影響を及ぼします。そのため、胚発生が停止し、着床不全や早期流産の原因となります。
トリソミー(trisomy)
トリソミーは、1~22番の常染色体のいずれかに1本余分な染色体が存在し、3本になる状態です。常染色体のトリソミーは、胎児や新生児に重度の発達障害や身体的異常を引き起こすことが多いです。
代表的なものは以下の3つです:
・21トリソミー(ダウン症候群)
・18トリソミー(エドワーズ症候群)
・13トリソミー(パトウ症候群)
これら以外の常染色体に数の異常がある受精卵は、多くの場合、流産に終わるか、妊娠が成立しません。
NIPTにおける検査対象
日本の認可施設におけるNIPT(新型出生前診断)の検査項目は、21番、18番、13番染色体の数的異常を対象としています。
Q:13・18・21トリソミーの染色体異常について教えてください。
A:
13トリソミー(パトウ症候群 / Patau syndrome)出生児5,000~12,000人に1人。
13番染色体が通常2本のところ、3本あることに起因する遺伝性疾患です。主な症状には、心臓疾患、脳異常(例:小頭症や無脳症)、口唇裂や口蓋裂、多指症などがあります。発育障害が著しく、ほとんどの患者が重度の知的障害を伴います。運動能力の発達も非常に遅れ、多くの子供が出生後1年以内に死亡します。生後1年を超える生存率は10%未満であり、生存した場合でも、日常生活の自立は極めて困難です。
18トリソミー(エドワーズ症候群 / Edwards syndrome)出生児5,000~6,000人に1人。
18番染色体が3本存在することが原因です。心疾患、腎臓異常、消化器異常など、複数の臓器にわたる先天異常がみられます。また、低出生体重、発育障害が深刻で、知的障害も重度です。予後は非常に厳しく、出生後1ヶ月以内に半数が死亡し、1年を超える生存率は5〜10%程度です。
21トリソミー(ダウン症候群 / Down syndrome)出生児500~800人に1人。
新生児の染色体異常で最も多いのがダウン症です。21番染色体が通常の2本ではなく3本存在する染色体異常の一種です。高齢出産で確率が高くなり、例えば30歳の妊婦と40歳の妊婦を比べると、その確率は約10倍も高くなります。特徴として、顔つき、手足の短さや筋力の弱さがあります。心臓疾患(先天性心疾患がよく見られる)、消化器の異常(十二指腸閉塞など)、感染症へのかかりやすさ、甲状腺機能低下症、視力・聴力の問題も見られます。早期の医療介入や、各種外科的・内科的治療が必要になる場合があります。
知的障害の程度は軽度から中度で、平均IQは30~70の範囲にあります。特別支援教育を受けることで、学校や社会生活への適応の可能性もあります。医療の進歩により、ダウン症候群の患者の寿命は大幅に改善されています。60年前は10歳ほどだった平均寿命が、現在では50~60歳まで延びています。軽症で適切な医療ケアと支援を受けることで、豊かな人生を送ることも可能です。
Q:なぜ常染色体の21番、18番、13番のトリソミーはその他の常染色体のトリソミーより予後が良いが?
Q:
常染色体において、NIPTの検査は21番、18番、13番のトリソミーを限定している理由は、21番、18番、13番以外の常染色体に数の異常がある受精卵はほとんどが早期流産するか妊娠に至りません。検査しても陽性率が相当低いと推定されます。
では、なぜ常染色体のトリソミーは13、18、21トリソミーだけ生まれることができる、その他の常染色体のトリソミーより予後が良いが?
A:
① ヒトの染色体数が46本であることが解明されたのは1955年ですが、それまでの30年以上にわたって染色体数が48本だと考えられていた。1965~1971年に、常染色体は大きいものから順番に1から番号が割り振られていますが(例外で22番染色体は21番染色体より大きい)1~22番の番号振り分けと命名されたのはです。
常染色体の大きいほど遺伝情報の量も多いと考えられ、異常の影響が重篤になる。例:1番染色体の欠失やトリソミーは、胎児期にほとんどが流産となります。一方、21番染色体が最も小さいので、トリソミーの場合は、他の染色体に比べて影響が少なく、生存可能なことがあります(ダウン症)。しかし、図のように、18番、13番は最も小さい染色体ではないのですが、トリソミーの場合は深刻な障害を伴いながら一時的生存することも見られます。
A:
② 各常染色体(および性染色体)の遺伝子数がほぼ確定したのは、2003年のヒトゲノム計画の完了時点と言える。各常染色体の遺伝子数をならべると、21番、18番、13番は最も少ない遺伝子数の染色体と分かります。遺伝子の数量が少ない染色体がトリソミー(余分な1本の染色体)が存在しても、他の大きな染色体のトリソミーに比べて致死的でない場合があります。それは少ない遺伝子数の染色体(21番、18番、13番)のトリソミーが生存可能な理由。
常染色体(1~22番染色体)の遺伝子数
1番染色体:2,000~2,100
2番染色体:1,300~1,400
3番染色体:1,100~1,200
4番染色体:750~1,000
5番染色体:900~1,000
6番染色体:1,050~1,100
7番染色体:900~1,000
8番染色体:700~800
9番染色体:1,000~1,100
10番染色体:800~900
11番染色体:1,300~1,400
12番染色体:1,000~1,100
13番染色体:300~400
14番染色体:500~600
15番染色体:600~700
16番染色体:850~900
17番染色体:1,200~1,300
18番染色体:200~300
19番染色体:1,500~1,600
20番染色体:550~600
21番染色体:200~300
22番染色体:500~600
Q:胎児の染色体異常の発生頻度は高年出産で増えるのですか?
A:
染色体異常の中に、ダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーなど染色体が3本ある病気については、妊婦の年齢が上がると発生率が上がることが知られています。
出産した時の年齢と21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー、13トリソミーの発生率
出典: Morris JK et al; J Med Screen 9:2-6,2002; Morris JK et al; Prenet Diagn 25:275-278,2005; Appendix in Savva GM et al; Prenat Diagn 30:57-64,2010
21,18 トリソミー 染色体異常の年齢別危険率
NT:Nuchal Translucency(胎児超音波検査)
妊娠10~13週に胎児の超音波検査におけるNT(Nuchal Translucency)とは、妊娠初期の胎児の首の後ろにある水たまりの部分(低エコー域)を指します。NTはすべての胎児に存在しますが、通常の胎児に比べて厚くなっている場合は、染色体異常や心奇形などの可能性があるとされています。
Q:① NTが厚くなる理由? ② NTの厚さと染色体異常発生頻度の関連性?
A①: NTが厚くなる理由:
NTが厚くなる背景には、胎児のリンパシステムの発達、心臓の機能など、様々な要因が考えられています。これらの発達の遅れや異常がある場合、NTが厚くなるとされています。
A②:
NTの厚さと染色体異常の頻度との間には強い相関があります。一般的に、NTの厚くなるほど、染色体異常のリスクが高まります。
ただし、NTが厚いからといって、必ずしも染色体異常があるとは限りません。染色体が正常かどうかを判別するためには、NIPTや絨毛生検などの遺伝学的検査が必要です。
Q:③ NTカットオフ値はどの位が妥当?
A③:
各国では、従来、超音波検査によるNT(nuchal translucency、後頸部浮腫)の測定において、カットオフ値を3.5mmとすることが一般的です。NTが3.5mm以上の場合、NIPT(新型出生前診断)が推奨されるのが通例です。
しかし、2024年に発表されたJAMAの論文によると、41万4268件の単胎妊娠についてNT測定とNIPT(cell-free DNA screening)を実施し、NTが2.0mm未満の群を基準群として多変量修正ポアソン回帰分析が行われました。基準群(35万9807件、全体の86.9%)における染色体異常の発生率は0.5%と、最も低い値でした。さらに、NTの測定値が増加するにつれて染色体異常のリスクも上昇することが確認されています。たとえば、NTが3.0~3.5mm未満の妊娠では、調整リスク差(Adjusted Risk Difference)は9.94%(95%信頼区間:8.49%~11.39%)でした。この結果から、今後はNTが2.0~3.5mmの範囲においても評価が求められ、NIPT検査の対象として検討されることが期待されます。
Table Title: Chromosomal Anomalies by Nuchal Translucency Measurement a Abbreviations: cfDNA, cell-free DNA; RD, risk difference; RR, risk ratio.
From: Ultrasonographic Fetal Nuchal Translucency Measurements and Cytogenetic Outcomes
JAMA Netw Open. 2024;7(3):e243689. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.3689
「染色体」正常の場合
ヒトは2本1組となった染色体を23組 合計46本持っています。 23組のうち1組は性別を決める性染色体で、女性はX染色体を2本持ち、男性はX染色体とY染色体を1本ずつ持っています。そのほかの染色体は常染色体と呼ばれています。
X染色体には、約850〜1,500個の遺伝子が含まれていいます。
X染色体上の遺伝子性別決定以外にも、筋肉、神経系、視覚、血液凝固、免疫など幅広い重要な身体機能を担う遺伝子を多く含むのに対し、Y染色体は主に男性の性別決定と生殖に関わる遺伝子を持っています。
一方、Y染色体は非常に小さく、約50~100個の遺伝子を持ち、主に男性の性ホルモンの制御や精子形成に関わるものが多いです。
Frequency and common characteristics of sex chromosome aneuploidies (SCA)
「染色体異常」:「数の変化」と「構造の変化」
染色体の「数の変化」には、トリソミー(ある染色体が3本ある)やモノソミー(ある染色体が1本のみ)などがあります。 例えば、ダウン症候群では21 番染色体が3本、18 トリソミーでは18 番染色体が3 本あります。
ダウン症候群では21 番染色体が3本
母体年齢別とダウン症候群の発生頻度
染色体の「構造の変化」
染色体の「構造の変化」は、染色体に切断が起こり構造が一部変化したもので、染色体全体として過不足が生じていないもの(均衡型)と、 過不足が生じているもの(不均衡型)があります。均衡型の例として、相互転座(異なる染色体の一部が互いに入れ替わっている)があります。 不均衡型の例としては、欠失(染色体の一部が欠けている)があります。
均衡型:染色体全体として過不足が生じていないもの
相互転座Translocation:異なる染色体の一部が互いに入れ替わっている
例:Translocation t(2;22) karyotype 正常人の染色体ですが、流産、不妊あるいは異常の子を生む可能性があります。
trisomy 16:流産組織の染色体:トリソミー 16、流産症例に最も見られる染色体異常。
モザイク その他
モザイク モザイクは診断できることもできないこともあります。
一人の赤ちゃんが異常な染色体の細胞と正常な細胞の両方をもっている場合を「モザイク」と呼びます。 異常と正常の両方の細胞が見つかれば、モザイクの診断が可能です。 しかし、正常細胞ばかりが増えてくる場合、もしくは両方の細胞が増えても正常細胞しか検出されなかった場合には、 出生後にモザイクの赤ちゃんであることが判明する場合があります。
想定外の異常
・性染色体異常
― 45,X,47,XXY,47,XYY,47,XXXなど
―上記を含むモザイク,キメラ
・構造異常
―均衡型相互転座,不均衡型相互転座
―逆位,欠失,重複など
・正常変異(異形)
― 46,XY,inv(9)(p12q13)
― 46,XY,1qh+
・その他(マーカー染色体など多数
正常変異
・過去の研究により形態的に異常があっても表現型・リプロダクションに影響のないもの
・例
― inv(9)(p12q13)
― 1qh +などのヘテロクロマチン(異質染色質)の変異
―セントロメア近傍の変異(ヘテロクロマチン)―端部付着型染色体(13-15, 21, 22)の単腕の変異
―ユークロマチン(真性染色質)領域の変異
―脆弱部位の変異
妊婦&放射線
羊水染色体検査
羊水穿刺の模式図(松本雅彦:羊水穿刺・臍帯穿刺.図説産婦人科VIEW33,p.130,メジカルビュー社,1998より改変)
羊水穿刺・胎児染色体検査についての説明および承諾書
氏名: 様 説明日: 年 月 日
説明者: (自署)
同席者: (自署)
1) この検査は、超音波で胎児や胎盤の位置を確認した後に、母体の腹部から子宮へ細い注射針を刺し、約20~30 ml程度の羊水を採取します。
2) 羊水穿刺により多少の出血や子宮収縮が起きたり、卵膜が破れて破水し流産にいたる危険性、また胎児死亡も300例に1例程度起こりうると言われています。したがって、検査当日は安静にし、その後も2、3日は無理をしないようにして下さい。もし下腹部の痛みや出血、破水感、発熱などがあればすぐに当院にご連絡下さい。
3) 羊水採取が不可能な時がまれにあり、2~3回の穿刺でも採取できない時は1~2週間後に再度の穿刺を必要とすることがあります。
4) 染色体分析を行うためには羊水中のわずかな胎児細胞を2週間培養して細胞を増やさなければなりません。この培養中に何らかの原因で細胞が増えず、分析ができなかったり、また分析結果が胎児の状態を正しく反映していないこともありえます。その際は再穿刺により再検査を行いますが、時間的に人工妊娠中絶の可能な妊娠21週までに結果報告が出せないことがありえます。
5) 羊水穿刺の際には母体からの出血を全く起こさずに行うことは不可能です。もし母体が何らかの感染症の保因者であれば、この検査の後に母体からの血液を介して、胎児への感染を起こす可能性があります。また、Rh血液型不適合妊娠の場合には、胎内感作を起こし胎児の重症溶血性貧血を起こすこともありえます。
6) 双胎以上の場合には、その情報が1児だけのものである可能性があります。
7) この検査は胎児の染色体を分析するものであり、染色体が正常であっても他の原因による先天異常や奇形が存在することも否定できません。
8) 染色体異常は現在の医学では治しようのないものですが、その異常の程度は流産・死産を起こすほどの非常に重症のものから、正常の場合とほとんど変わらないものまで多種多様です。また、異常の受けとめかたや正常と考える範囲も十人十色です。したがって、染色体異常の結果がでても、その異常についての説明を十分に受けてから、妊娠を継続するかどうかをご夫婦で十分に話し合って決定して下さい。
9) この検査は結果によっては胎児の生死に関わる非常に重大な検査です。したがって、私たちも細心の注意を払って行っていますが、検査を希望される方も決して胎児の『品質検査』のような安易な気持ちではなく、厳粛な心構えで受けていただければ幸いです。
承 諾 書
私は以上の事項につき主治医より説明を受け十分に理解し納得しましたので、羊水穿刺を受けることを希望します。
年 月 日 (自署)
羊水穿刺の料金について
羊水穿刺、染色体検査は保険外診療ですので、手技料、材料費、手術室使用料、染色体検査なとは自費になります。
(染色体検査は特殊な技術が必要であるため、院外の専門施設に依頼しています。)
自費費用明細(税込)円
手技料 13,000
材料費 12,000
手術室病室使用料 15,000
羊水染色体検査料 110,000
合計 150,000
※ 羊水検査費用は通常約15万円ですが、当院でのNIPT検査にて羊水検査が必要となった場合は 2万円となります。)
※ その他保険診療の3割負担があります。(外来再診料、超音波検査料、投薬料など、約数千円)
(双胎の場合:染色体検査料は別料金になります。)
※ 羊水穿刺により多少の出血や子宮収縮が起きたり、卵膜が破れて破水し流産にいたる危険性がありますので、2~3日間かなり安静をおすすめします。
羊水穿刺後、下腹部の痛みや出血、破水感、発熱などを感じる場合、切迫流産で1泊2日末広本院に入院安静観察する場合に入院費は保険診療の自己負担金約 円になります。(健康保険証と診察券をご持参ください)
以上、ご理解頂いた上で検査をお受け下さい。