COVID-19ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する方へ(2021/08/04)(2021/06/17)

妊娠中、授乳中、妊娠を計画中の方も、ワクチンを接種することができます。 2021/08/04 厚労省

私は妊娠中・授乳中・妊娠を計画中ですが、ワクチンを接種することができますか。

妊娠中、授乳中、妊娠を計画中の方も、ワクチンを接種することができます。mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンが妊娠、胎児、母乳、生殖器に悪影響を及ぼすという報告はありません。

妊娠中、授乳中、妊娠を計画中の方でも、mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンを接種することができます。
産婦人科の関係学会は、海外における多くの妊婦へのmRNAワクチンの接種実績から、ワクチンは、妊娠初期から妊婦と胎児の双方を守り、重篤な合併症が発生したとの報告は無いとしています。また、妊娠中のいつの時期でも接種可能としています。
妊娠中に新型コロナウイルスに感染すると、特に妊娠後期は、重症化しやすいとされています。特に人口当たりの感染者が多い地域の方、感染リスクが高い医療従事者、糖尿病、高血圧など基礎疾患を合併している方は、ぜひ接種を検討ください(※1、※2)。

なお、米国では妊娠中・授乳中・妊娠を計画中の方について、下記のような見解やエビデンスが示されています。

妊娠中の方:
米国では、既に10万人以上の妊婦が新型コロナワクチンを接種しています(2021年5月3日時点)。妊娠中にmRNAワクチン接種をした約3万5千人の女性の追跡研究の報告では、発熱や倦怠感などの副反応の頻度は非妊娠女性と同程度であり、胎児や出産への影響は認められませんでした(※3)。妊婦中の女性に対するmRNAワクチンの安全性や有効性に関するランダム化比較試験も現在行われています。米国CDCは、妊婦にも接種の機会が与えられるべきだとしております(※4、※5)。これは、妊婦は同世代の妊娠していない女性と比べて、新型コロナウイルスに感染した場合に重症になりやすく、また早産や妊娠合併症、胎児への悪影響のリスクが上がることが主な理由です(※6)
妊娠中にmRNAワクチンを受けた方の臍帯血(胎児の血液と同じ)や母乳を調べた研究では、臍帯血にも母乳中にも新型コロナウイルスに対する抗体があることが確認されています。こうした抗体が、産後の新生児を感染から守る効果があることが期待されています(※7)。

授乳中の方:
授乳中の方も、新型コロナワクチンのmRNAワクチンを接種することができます(※4)。mRNAワクチンの成分そのものは乳腺の組織や母乳に出てこないと考えられております(※8)。
授乳中にmRNAワクチンを受けた方の母乳中に新型コロナウイルスに対する抗体が確認されています。こうした抗体が、授乳中の子供を感染から守る効果があることが期待されています(※6、※7)。

妊娠を計画している方:
これから妊娠を計画されている方もmRNAワクチンを接種できます。mRNAワクチンが生殖器に悪影響を及ぼす報告はなく、ワクチンのために妊娠のタイミングを変更する必要はありません(※4)。もし接種後に妊娠していたことがわかった場合も、ワクチン接種が妊娠に悪影響を及ぼすという報告はありません。

(参考資料)
※1:新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)ワクチンについて(日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科感染症学会)
※2:女性のみなさまへ 新型コロナウイルスワクチン(mRNAワクチン) Q&A(日本産婦人科感染症学会)
※3:N Engl J Med.2021 April, Epub
(Preliminary Findings of mRNA Covid-19 Vaccine Safety in Pregnant Persons)
※4:CDC. Interim Clinical Considerations for Use of mRNA COVID-19 Vaccines Currently Authorized in the United States
※5:WHO. The Moderna COVID-19 (mRNA-1273) vaccine: what you need to know
※6:JAMA Pediatr. 2021 April, Epub
(Maternal and Neonatal Morbidity and Mortality Among Pregnant Women With and Without COVID-19 Infection)
※7:American Journal of Obstetrics and Gynecology. 2021 March, Epub
(Coronavirus disease 2019 vaccine response in pregnant and lactating women: a cohort study)
※8:Considerations for COVID-19 vaccination in lactation. ABM Statement.

妊産婦のみなさまへ  2021/06/17
―新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)ワクチンについて―

妊産婦のみなさまへ
―新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)ワクチンについて―
日本産科婦人科学会 木村 正
日本産婦人科医会 木下勝之
日本産婦人科感染症学会 山田秀人
令和 3 年 6 月 17 日
新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)ワクチンは、これまで医療従事者や高齢者を中心に接種が行われてきましたが、今後は基礎疾患を持つ方、それ以外の方へと順次拡大されます。
皆さまが最も関心のある「妊婦さんへの接種」については、すでに多くの接種経験のある海外の妊婦に対するワクチン接種に関する情報では、妊娠初期を含め妊婦さんとおなかの赤ちゃん双方を守るとされています。また、お母さんや赤ちゃんに何らかの重篤な合併症が発生したとする報告もありません。したがって日本においても、希望する妊婦さんはワクチンを接種することができます。
妊婦健診は普段通り受けていただき、産婦人科施設以外で接種を受ける場合は、その前にかかりつけ医にワクチン接種の適否に関してご相談ください。
◆妊娠中に新型コロナウイルスに感染すると、特に後期の感染ではわずかですが重症化しやすいとされています。
◆一般に、このワクチンを接種することのメリットが、デメリットを上回ると考えられていますので、特に感染の多い地域や感染のリスクの高い医療従事者等や、糖尿病、高血圧、気管支喘息などの基礎疾患を合併している方は、ぜひ接種をご検討ください。
◆副反応に関し、妊婦さんと一般の人に差はありませんが、発熱した場合には早めに解熱剤を服用するようにしてください。アセトアミノフェンは内服していただいて問題ありませんので頭痛がある場合も内服してください。
◆新型コロナワクチン接種の予診票には、「現在妊娠している可能性はありますか。または授乳中ですか。」という質問がありますので、「はい」にチェックし、あらかじめ健診先の医師に接種の相談をしておきましょう。接種してよいと言われていれば、その旨を接種会場の問診医に伝えて、接種を受けてください。
◆妊娠中の方は、里帰り先など住民票と異なる居住地で接種を受ける場合でも「住所地外接種届」の提出は不要です(「基礎疾患を持つ者が主治医の下で接種する場合」に準じた対応が可能です)。
◆予定された 2 回のワクチンを接種しても、これまでと同様に感染予防策(適切なマスク使用、手洗い、人混みを避けるなど)は続けてください。
◆情報(問い合わせ先)等
・各地元の保健所、都道府県の相談センター等の一覧;
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-kikokusyasessyokusya.html
・新型コロナウイルスに関する Q&A(一般の方向け:厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html
・厚生労働省の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
・妊婦の方々などに向けた新型コロナウイルス感染症対策
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10653.html
・新型コロナワクチン Q&A
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0027.html
以上

COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅へ(第 2 版)2021/05/12
20210805⽇本産婦⼈学会より本通知を削除した。

COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅へ
⽇本産婦⼈科感染症学会
⽇本産科婦⼈科学会
第 2 版 令和 3 年 5 ⽉ 12 ⽇
2021 年 2 ⽉からわが国でも COVID-19 ワクチン接種が始まりました。COVID-19 感染患者さんに接する医療従事者や重症化リスクの⾼い⾼齢者が優先的に接種を受けていますが、今後希望するすべての国⺠に接種が始まります。政府はすべての⽅に、無償で接種を⾏う⽅針で進めています。
COVID-19 のパンデミックが昨年に始まり、およそ半年という極めて短い時間にワクチン開発が⾏われたために、まだ⻑期間にわたる有効性や安全性に関する臨床データの集積はありません。ただし、⼤規模な接種を始めたイスラエルや英国では、新規感染者、重症者、死亡者のすべてで激減しています。副反応の⼀つであるアナフィラキシーを含むアレルギーの頻度は、⽶国におけるファイザー製ワクチン治験時には 0.0011%とされています。現在までのわが国の接種では、局所の疼痛・腫脹、頭痛、疲労、悪寒、筋⾁痛、関節痛、下痢、発熱などの症状が 1−2 ⽇続くとする報告はありますが、致命的な副反応は報告されていません。mRNA が接種を受けた⽅の遺伝⼦に組み込まれるとか、接種を受けた⽅が有害な物
質を産⽣するといった事実はありません。さらに、接種後に感染しやすくなるという事実もありません。しかし、2 回の接種を受けて 1−2 週間以上たたないと抗体は⼗分に誘導されず、また変異したウイルスには効果が⼗分でない可能性もありますので、引き続き三密回避やマスク着⽤は必要です。
現時点では、妊婦さんに対する接種について⼗分な知⾒がなく、各国で⾒解が分かれていますが、世界的な流⾏拡⼤と妊婦の⼀部で重症化することから積極的に接種をすべきという考え⽅が⼤勢を占めています。⽶国の ACIP(ワクチン接種に関する諮問委員会)は、妊婦を除外すべきではないとしていましたがii、CDC は本年 4 ⽉ 24 ⽇、⼗分な情報を得た個⼈の選択ではあるが、妊婦への接種を推奨するとしていますiii。英国では当初妊婦中の接種を積極的には推奨していませんでしたが、接種のリスクよりも感染のリスクが⼤きいことから、希望者には接種をためらうべきでないとしていますⅳ、ⅴ。また、COVID-19 mRNA ワクチンの⽣殖に関する研究はまだ完了していませんが、現時点で胎児や胎盤に毒性がある
とかワクチン接種を受けた⼈が不妊になるといった報告はありません。しかしながら、中・⻑期的な副反応については、今後も情報を収集する必要があります。⽇本産婦⼈科感染症学会および⽇本産科婦⼈科学会として、現状において以下の提⾔をします。
1. COVID-19 ワクチンは、現時点で妊婦に対して短期的安全性を⽰す情報が出つつあるが、中・⻑期的な副反応や胎児および出⽣児への安全性に関しては今後の情報収集が必要である。現時点では世界的に接種のメリットがリスクを上回ると考えられる。
2. 流⾏拡⼤の現状を踏まえて、妊婦をワクチン接種対象から除外しない。 特に⼈⼝当たりの感染者が多い地域では積極的な接種を考慮する。接種する場合には、産婦⼈科医は被接種者に、⻑期的な副反応は不明で、胎児および出⽣児への安全性は確⽴していないことを事前に⼗分に説明する。同意を得た上で接種し、その後 30 分は院内で経過観察する。現時点で mRNA ワクチンには催奇性や胎児胎盤障害を起こすという報告は無いCOVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅へ(第 2 版) JSIDOG・JSOGが、器官形成期(妊娠 12 週まで)は、偶発的な胎児異常の発⽣との識別に関する混乱を招く恐れがあるため、ワクチン接種を避ける。妊婦には⺟児管理のできる産婦⼈科施設などでワクチンを接種する事が望ましく、なるべく接種前後に超⾳波やドップラー検査などで胎児⼼拍を確認する。直前検査が難しい集団接種や、産科のない診療所など
で接種する場合、接種前後 1 週間以内に妊婦健診を受診するように促す。また,接種後に腹痛や出⾎、胎動減少などの症状があればすぐに産科を受診するように指⽰する。
3. 妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅で、感染リスクが⾼い医療従事者、保健介護従事者、重症化リスクが⾼い肥満や糖尿病など基礎疾患を合併している場合は、ワクチン接種を積極的に考慮する。
4. 妊婦のパートナーは、家庭内での感染を防ぐために、ワクチン接種を考慮する。
5. 妊娠を希望される⼥性は、可能であれば妊娠する前に接種を受けるようにする。(⽣ワクチンではないので、接種後⻑期の避妊は必要ない。)
患者さん⼀⼈⼀⼈の背景が違いますので、まずは産婦⼈科の主治医と⼗分にご相談ください。
i Tom Shimabukuro, MD, MPH, MBA,Narayan Nair, MD;Allergic Reactions Including
Anaphylaxis After Receipt of the First Dose of Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine.JAMA
Published online January 21, 2021. doi:10.1001/jama.2021.06001回⽬接種を受けた 1,893,360
⼈中、アナフィラキシー含むアレルギーの頻度は 21 ⼈、そのうち 17 ⼈にはアレルギーの既往
があり。
ii COVID-19 vaccine safety update.Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP)
March 1, 2021
https://www.cdc.gov/vaccines/acip/meetings/downloads/slides-2021-02/28-03-01/05-covidShimabukuro.pdf
iii Information about COVID-19 Vaccines for People who Are Pregnant or Breastfeeding
Updated Apr. 28, 2021
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/recommendations/pregnancy.html
ⅳ Royal Society of Obstetrics and Gynaecology . COVID-19 vaccines and pregnancy
https://www.rcog.org.uk/en/guidelines-research-services/coronavirus-covid-19-pregnancy-andwomens-health/covid-19-vaccines-and-pregnancy/
ⅴ Public Health England Guidance The safety of COVID-19 vaccines when given in pregnancy
Updated 30 April 2021
https://www.gov.uk/government/publications/safety-of-covid-19-vaccines-when-given-inpregnancy/the-safety-of-covid-19-vaccines-when-given-in-pregnanc

・FIGO Statement “COVID-19 Vaccination for Pregnant and Breastfeeding Women”
 https://www.figo.org/covid-19-vaccination-pregnant-and-breastfeeding-women

リーフレット「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策~妊婦の方々へ~」の改訂(令和3年2月時点)

20210219_kourousho.pdf (jsog.or.jp)

COVID-19ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する方へ

COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅へ
⽇本産婦⼈科感染症学会
⽇本産科婦⼈科学会
令和3 年 1 ⽉27 ⽇
2021 年2 ⽉からわが国においても、COVID-19 ワクチン接種が始まります。政府はすでに希望される⽅すべてに、無償で接種を⾏う⽅針で進めています。
COVID-19 のパンデミックが昨年に始まり、およそ半年という極めて短い時間にワクチン開発が⾏われたために、まだ⼗分な有効性や安全性に関する臨床データの集積はありません。ただし、⼤規模な接種を始めたイスラエルでは、新規感染者、重症者、基本再⽣産数がともに激減しています。副反応として、アナフィラキシーを含むアレルギーの頻度は、⽶国におけるファイザー製ワクチンで0.0011%とされていますi。治験の段階では注射部位の強い疼痛が数⽇続くことや発⾚の報告はありますが、致命的な副反応は報告されていません。
残念ながら、妊婦さんに対しては⼗分な知⾒がなく、各国で⾒解が分かれています。⽶国のACIP(ワクチン接種に関する諮問委員会)は、妊婦を除外すべきではないとしii、イスラエルでは積極的な接種対象としています。⼀⽅で、英国やカナダでは⼗分な臨床データがないことから、妊婦中のCOVID-19 ワクチン接種は推奨していません。COVID-19 RNA ワクチンの動物の⽣殖に関する研究はまだ完了していません。また、
・⻑期的な副反応については、現時点では不明です。
⽇本産婦⼈科感染症学会および⽇本産科婦⼈科学会として、現状において以下の提⾔をします。
1 COVID-19 ワクチンは、現時点で妊婦に対する安全性、特に中・⻑期的な副反応、胎児および出⽣児への安全性は確⽴していない。
2 流⾏拡⼤の現状を踏まえて、妊婦をワクチン接種対象から除外することはしない。接種する場合には、⻑期的な副反応は不明で、胎児および出⽣児への安全性は確⽴していないことを接種前に⼗分に説明する。同意を得た上で接種し、その後30 分は院内での経過観察が必要である。器官形成期(妊娠12 週まで)は、ワクチン接種を避ける。⺟児管理のできる産婦⼈科施設等で接種を受け、なるべく接種前と後にエコー検査などで胎児⼼拍を確認する。
3 感染リスクが⾼い医療従事者、重症化リスクがある可能性がある肥満や糖尿病など基礎疾患を合併している⽅は、ワクチン接種を考慮する。
4 妊婦のパートナーは、家庭での感染を防ぐために、ワクチン接種を考慮する。
5 妊娠を希望される⼥性は、可能であれば妊娠する前に接種を受けるようにする。(⽣ワクチンではないので、接種後⻑期の避妊は必要な。)